#3 ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(森山未來・大根仁版)あらすじ
特に設定が変わっている、物語の前半部分のあらすじを紹介します。
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2011年3月11日を経た現代(近未来)の日本。
原発事故を受けて、その場所には壁が作られ、立ち入り禁止区域に。
いつしかその壁の中には、“外”の世界では生きられない犯罪者や行き場のない者達が集うスラム街のようになった。
ヘドウィグは、その壁の内側で生まれた原発2世。
壁の中で生まれた子は、戸籍がない。
そして“アレ”の影響で五体満足で生まれることは珍しく、早死にをする子が多い。
(“アレ”という表現をしていました)
ヘドウィグは原発作業員の父と、壁の内側で売春婦をしていた母との間に、有り難いことに五体満足で生まれた。
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これは今回の舞台独自の設定です。
本来は、【ベルリンの壁】なので。
この設定変更によって諸々他の設定の曖昧さが露呈してしまっているのではないかという部分があって、受け入れられない原作ファンもいるようなのですが
きっとこの設定にしたのは、大根さんが3.11を経験した現代の私たちに伝えたいメッセージがあったから、ですよね?そこを私は忘れたくないなと。これはこれで意図があったのだと。
この設定変更に伴い、イツァークの設定もだいぶ変わったのですが、それはまた記事にします。
・・・いや、しないかもしれないけど。
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幼いヘドウィグは瓦礫の山で遊んでいるとき、ラジオを・・・徳永風に言えば“壊れかけのradio”を手に入れた。
(ここで、ギターの聖也さんが♪何もきこえないーと歌い始めるが、ヘドウィグに「ここそんなに重要じゃないから!」と諫められる。好き。)
そのラジオから流れて来るものが、壁の外側の音楽(ロック)だということを父親(変態)に教えられる。父親(変態)と一緒に、ラジオから流れてくる壁の外側の音楽を聴いて、ヘドウィグは子どもながらに下半身がゾクゾクするのを感じていた。←
変態(父親)とロック。
それが、ヘドウィグのトラウマとアイデンティティー。
そしてある日、父親のヘドウィグに対する変態行為(察してくださいね)を母親が見つけて怒りが爆発。父親を追い出し、母親とヘドウィグの2人暮らしに・・・
母親はヘドウィグに「愛の起源(Origin of love)」※の物語を語り聞かせ、以後「カタワレ探し」がヘドウィグの生涯の生き甲斐であり希望となった。
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※この愛の起源、というのはプラトンの「饗宴」をモチーフにしたお話で、ここで歌われるのが“The origin of love”という曲です。以下、歌詞をざっくりまとめたもの。
元々、人は2つの頭に4本の手足を持っていた。
男と男、女と女、男と女が背中合わせの3種類。
しかし、知恵を身につけて調子に乗っている人類を恐れた神様が、雷で人を(背中から)分断した。
(その傷跡を縫い合わせるときに、自分から見えるように…自分の罪を忘れないようにお腹で縫い合わせたのが、おヘソ。)
そして、1つの頭と2本の手足(という今の私たちと同じ姿)になった人類は、風で四方に吹き飛ばされる。
―それが、愛の始まり。
つまり、自分と背中合わせで本来一体であったハズのカタワレを探すのが、愛。
一つに戻ろうとするその衝動がSEX。
それが、愛の始まり。
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壁の内側で、ヘドウィグが一番好きだった場所が教会。
そこである日セクシーな声で聖書を読む牧師・ルーサーと出会う。
ヘドウィグと男との出会いの場面は、毎度下ネタが絡むので詳細はやめておきます。
とりあえず、そういう趣味だったルーサーは、そういうことをさせて、ご褒美に“飴ちゃん”をあげるんです。その外の世界の“飴ちゃん”が大層気に入ったヘドウィグは、ルーサーと度々会うようになり、そして愛し合うようになり、壁の外に出る決意をする。
「ママ、ルーサーが結婚して壁の外に連れていってくれるんだ」
「ママのパスポートの写真張り替えて、ママの名前(ヘドウィグ)を使い!でもな、自由を手に入れるためには、何かを代わりに置いて行かなあかん」
「結婚する時には、身体検査をされる」←これルーサー
「そんなのされたら、僕が男だってバレちゃう!」
「やから、そういう手術をしてくれるお医者さん探しておいたで。なっ、ルーサー。まぁ、壁の内側にいてるんやから・・・ヤブ医者やけどな!」
「ママ!?」
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ストーリーは基本的にほぼヘドウィグの1人語りです。
そして時々、ヘドウィグとママやルーサーとの会話で進行されました。
セリフはニュアンスですけど、ママはイツァーク役の後藤まりこちゃんが兼ねていたため、コテコテの関西弁でした(笑)そして、ルーサー役はバンドメンバーのギターの聖也さんが田中邦衛の物真似でしていました。ヘドウィグに「ちょっと・・・分かりにくい物真似しないでくれる!?」って言われてましたけどw
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そして、ヘドウィグがお○ん○んをちょん切られるシーンを再現するシーン
魚肉ソーセージをもにょに見立てて蛍光緑のおパンティーに当てて・・・もにょが6インチから1インチになる、ということを表すために魚肉ソーセージを噛みちぎって客席にぷーーーーー!って吐き出すんですよね。あー楽しそうだったなぁ!!
無事に壁の外側に出たものの、新しい恋人が出来たルーサーに捨てられるヘドウィグ。
それからのヘドウィグはあらゆること(察してください)をしてなんとか生きていた。
その頃、壁の内側ではテロリストが横行していたため、米軍が?だっけな?壁ごと爆破し、被災地は滅びる。ママの生死も不明。ただ、しぶとい人だったからどこかで生きてるんじゃない?と。
壁が崩れたとき、ヘドウィグは27歳。
上述の通り、壁の内側で生まれた子は早死にが多かったので、ヘドウィグ自身もこの年まで生きているとは思わなかったらしい。往年のロックシンガーは27歳で亡くなっている人※が多いから、私も27歳で死んで伝説になろうかと思い、生まれ育った壁の内側に戻るヘドウィグ。
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※27歳で亡くなっているロックシンガー
ジム・モリスン、カート・コバーン、エイミー・ワインハウスなどなど・・・
ヘドウィグが本気で死ぬつもりだったのかどうかは・・・ちょっと忘れましたが、「27で死ぬのもいいかな」ということは言っていました。
そして、この当時でヘドウィグが27歳ということなので、2011年から30年前後が経過しているようだということが分かる。原発2世ですから。
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回収し切れていない死体と、瓦礫の山ばかりの壁の内側。
ルーサーと出会った、ヘドウィグが大好きだった教会は残っていて・・・・
そこで、熱心なキリスト教オタクの少年と出会う。(ココの出会いも下ネタ)
この後は、映画や舞台とほぼ同じなのですが、ざっくり説明すると・・・
ヘドウィグはトミーに音楽を手取り足取り教え、愛し合うようになった。
トミーに「ノーシス」という、ギリシャ語で「知識」という意味の名を与え、トミーの額に十字の印を与えた。
それからは、泉のように音楽が溢れ、二人で曲を作り・・・・
・・・ヘドウィグと一つになりたかったトミーは、ヘドウィグの股間の怒りの1インチの存在を知る(性転換を知り)。受け入れられなかったトミーはヘドウィグの元から去ってしまう。
そのトミーが、ヘドウィグが作った楽曲を盗作して、トミー・ノーシスの名でデビューし、ロックスターとなって・・・・というお話。
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あ、ヘドウィグの愛した少年トミーは未來くんの2役です。
ロックスターになったトミーのライブシーンがビジョンに映ったり、トミーと出会ったころのシーンの再現では、録音のトミーの声との掛け合いを行いながら舞台が進んで行くのですが、
トミーが怒りの1インチに気付くところ!あそことてもツボでした。シリアスなシーンのハズなんですけど、「え、もっかい触っていい?・・・・え、もっかい触っていい?」っていうのが絶妙なタイミングで繰り返されて、笑いが止まらなかったです。
ラストは、観客によって解釈が違う場合もあると思うので、ここでは書きません。
いつか書くかも書かないかも・・・
#3おわり。