#1 ヘドウィグと森山未來という人。
9月15日に「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を観劇してきました。
舞台はZepp NAMBA!!
物語の設定の違いや、それと関連するイツァーク(後藤まりこちゃん)の設定の違い、そして日本語訳詞についてはまた別に(多分)記事を上げるとして、まずは森山未來くんのことを書かせてください。
(ヘドウィグ記事、途中で中途半端になっていますが、私はJCM(※勝手にこう略してます)の映画が大好きです。三上氏、山本氏のヘドウィグの舞台は未体験です。)
物語の設定の違いの件で詳しく触れますが、この舞台は時代背景などの設定がガラリと変わっています。より現代的で、より時事的で・・・
この事に関しては、やはりJCMの映画が好きな人、これまでの国内の舞台が好きな人で賛否が分かれるようなのですが、その一方で観劇した人の多くは、設定に関してはあれこれあっても森山未來くんのヘドウィグを絶賛していました。元の設定で、森山未來くんのヘドウィグを観たかった!などなど。
※私は、決して今回の舞台の設定に完全否定な訳ではありません。むしろ今の時代の私たちには理解しやすい(と言っていいのか分かりませんが)設定だなって思ったし、(きっと)そのために賛も否もあることを承知の上で大根さんが脚色したものだから。
それに、後藤まりこちゃんの魅力を活かすためにはこういう設定でなければならなかったと思う。元の設定では・・・後藤まりこちゃんでは無理だわ。笑
(でもきっと、設定についてのあれこれは言います)
そのくらいね、未來くんのヘドウィグはステキだったんです。(語彙を下さい)
OPのバンドセッションが最高潮に盛り上がり、ヘドウィグが登場するシーン。
あのシーン、未來くんの存在感が半端なかったです。
階段の一番上。足を開いて中腰で、サングラスをかけたヘドウィグが舌をぺろぺろするんです。私たちを挑発するように。
圧倒されて、息ができなくて、固まってしまう。
正に時が止まった瞬間でした。
鳥肌が立ちまくって、涙が溢れそうになって、
私をどうとでもしてください、好きにしてくださいって土下座したくなって。
脱ぎたくなるってこういう気持ちか!って妙に納得しました。笑
(・・・正直、どんな風に出てきたのかあんまりよく覚えていません。気付いたらヘドウィグがばーん!って目に飛び込んできて、もうヘドウィグから目が離せなくなった。)
登場後、階段の脇にあるポールを伝って階段の中腹あたりまで降り立ち、そこから階段を降りてマイクの元に・・・来るのですが、その時すてーーーん!て倒れるんですね。
音楽も何もない無音の中、倒れたヘドウィグがむくっと立ち上がって、ヨロヨロとマイクの前に立って
サングラスを外し・・・
マントをバサっと開いて・・・
「わかる?アタシはゆるーい天国とゆるーい地獄の間に立ちはだかる日本の新しい壁。」
そう叫び、音楽が始まったとき、私は諦めました。
この舞台、1回しか見れないから、ちゃんと記憶に留めておきたくて、覚える気満々だったんです。
あんなこと言ったこんなこと言った、こういうセリフ回しが好きだったとか全部。無謀。だけど覚えておきたかったんです。
(DVD化なんて絶対ないだろうし、むしろしてはいけない作品だと思う)
でも、ヘドウィグがマントを開いた瞬間、音楽が始まった瞬間、
未來くん演じるヘドウィグの生み出す間(ま)に、醸し出す空気に、放つオーラに引き込まれすぎて、冷静に覚えるなんて無理だって悟りました。
これは“覚える”舞台じゃなくて、今を楽しんで、盛り上がって盛り上がって燃え尽きる舞台だな~って。
舞台は生もの、ってよく言いますけど、本当にそうだなーーーって。(軽いな)
ご存知の通り、この舞台はヘドウィグ&アングリーインチのLIVEを観にきた私たちに、ヘドウィグが自身の半生を語るという構成なので、ほとんどが未來くんの1人芝居のようなものです。(後藤まりこちゃん以外のバンドメンバーは皆さんミュージシャンの方々なので)
盛りに盛ったウィッグ、バッサバサのまつげ、10センチ以上あるヒールのブーツ、タイトなミニスカート、そこから見える(見せる)緑色のショーツw
未來くんのドラァグクイーンっぷりは全く違和感がなかった。
おネェ言葉が自然で(自然ってどうなの)、ドSっぷりも下ネタっぷりも壊れっぷりも最高で、アドリブであろうMCもヘドウィグの人格が乗り移ったようなハマリっぷりでした。
そして、舞台自体がヘドウィグ&アングリーインチのLIVEという設定なので、もちろん音楽の占める割合が大きい。
ロックミュージカルだし。
森山未來くんの歌唱力がどのくらいのものか、全く知らなかったのですが彼は歌がとても上手かったです。
めちゃめちゃ上手かった。
うそでしょって思うくらい上手かった。(語彙のなさ)
びっくりしました。
声がいい。
低音のビブラートも、高音も、シャウトも。
ていうか歌が本当にうまい。
ヘドウィグの音楽は、ヘドウィグの叫びであり、悲しみであり、半生なのですが、まぁ素人の私が何言ってんだって感じがしますが、本当に、ほんとーーーーーーーーーに、上手いんですよ!!!!
テクニック的なことだけではなく。
よくある表現しかできませんが、【魂がこもっている】ってこういうことなのか!!!っていう。(どんまい語彙・・・)
ヘドウィグの全身全霊の歌には喜怒哀楽の全て詰まっていて、
そんな彼女(もしくは彼)は愛おしいほどせつなくて美しい。
彼女(もしくは彼)のパフォーマンスに感情の全てを支配され続けたた2時間。
私は幸せでした。(遺書みたい)
未來くん演じるヘドウィグに出会えて良かった。
一緒の空間にいることができて良かった。
#1 終わり。